みなさんこんにちは!だいちです!
2021年最後の更新です!
今回は今年、読書家なら一度は目にしたことがあるだろう朝井リョウさんの「正欲」を紹介します。
Instagramでもかなり話題で、2022年の本屋大賞にノミネートされ、本屋大賞に選ばれるんじゃないかと評価が高い作品です。
「正欲」とは
この『正欲』という作品は朝井リョウの作家生活10周年を記念して書き下ろされた、新作の長編小説の1冊です。
こちらは新潮社から出版されていますが、おなじく朝井リョウさんの10周年記念作品として出版された長編小説『スター』が朝日新聞出版から発売されています。
かなり考えさせられる作品で、個人的にずっと大事にしたいと思える作品でした!
あらすじ
ーいてはいけない人間なんて、この世にいないー
多様性の世界の中にあるマイノリティの生きづらい孤独が描かれた作品
とある事件を切り取った週刊誌の報道記事。
その背景にあった真実に対して、複数人の一人称語りで物語が進んでいきます。
- 不登校での息子がYouTubeを始め、息子に普通の生きて欲しいと願う検事:寺井啓喜
- 容姿にコンプレックスを持ち、男性が苦手の大学生:神戸八重子
- デパートの布団売場に勤める一匹狼:桐生夏月
- ダンスサークルに所属する寡黙なイケメン大学生:諸橋大也
- 大手食品メーカーに勤める会社員:佐々木佳道
一見つながりのない5人がある共通点でつながり、一つの事件につながっていくーー。
感想
今までの考え方や概念をもう一度考えさせられる作品でした。
『正欲』という題名は”性欲”からきているだろうと考えています。
世の中の”正しい”は大多数の人がそれを正しいと考えているだけで、本当の”正しい”なんてそもそも存在しないんじゃないか考えさせられます。
”多様性”とか”ダイバーシティ”とかいう言葉は世の中から差別をなくしていこう、みんな平等な世の中を、というようなキレイな言葉ではあるけど、マジョリティが都合よく作った言葉なのかと思ってしまいました。
この作品を読むとマジョリティがマイノリティの姿を見て、その人たちをわかった気になって仲間にしようとしているだけな気がしてしまいました。
そういう人たちはその人たちの中でつながりを持って生きているのに、その人たちをマジョリティに混ぜることに意味があるのか疑問が出てきますね。
物語でもマイノリティ同士でやっとつながることができたのに、最後は関係のない罪で捕まってしまい、世間には理解されずにあきらめる登場人物の姿が印象的でした。
正解を見つけることは難しいけれど、忘れてはいけない考えさせられる作品でした
印象に残った言葉
地球に留学してるみたいな感覚なんだよね。私”
「正欲」152ページ
性的対象は、ただそれだけの話ではない。根だ。思考の根、哲学の根、人間関係の根、世界の見つめ方の根。遡れば、生涯全ての源にある。
「正欲」186ページ
幸せの形は人それぞれ。多様性の時代。自分に正直に生きよう。そう言えるのは、本当の自分を明かしたところで、排除されない人たちだけだ。
「正欲」214ページ
あってはならない感情なんて、この世になんだから
「正欲」346ページ
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