みなさんこんにちは!
今回紹介するのは荒木あかねさんの『ちぎれた鎖と光の切れ端』です!
荒木あかねさんは前作の『此の世の果ての殺人』で史上最年少で江戸川乱歩賞を受賞した、注目の若手ミステリー作家です。
今作が2作目となっており、前作同様読み応えたっぷりのミステリー作品になっています。
そして、今作は一部と二部分かれていて一見それぞれ別に事件に見えながらも、ラストはキレイに繋がる大興奮の展開になっています!
それでは詳しい内容から紹介していきます。
今回紹介する作品
『ちぎれた鎖と光の切れ端』物語の内容
それではまずは『ちぎれた鎖と光の切れ端』詳しい内容を紹介していきます。
あらすじ
2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。
その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。
しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。
「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」
樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。
樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。
しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていたーーー
そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった――。
物語の構成
今作は第1部と第2部に分かれていて、”第1部は第2部の序章”という形になっています
それぞれの事件が第2部で徐々に繋がりを見せていき、その伏線回収が最高の作品になっています!
無人島に集まった男女
第1部の舞台は熊本県にある”徒島”(あだしま)という無人島です。
徒島の全体図はこんな感じ!
海上コテージが島の入り口に設置され、コテージの裏手に島が広がっているようになっています。
島にはむかし人が住んでいたんですが、島民が徐々にいなくなっていき、打開策で『海上コテージ』を建設したが結局報われず無人島になってしまいました。
この無人島の海上コテージに7人の男女が遊びに来たのでした。
登場人物
第1部の登場人物は8人
7人の友人と、海上コテージの案内人です
- 樋藤清嗣(ひとうきよつぐ):友人全員を殺すために島に来た
- 伊志田千晶(いしだちあき)
- 浦井啓司(うらいけいじ)
- 加蘭結子(からんゆいこ)
- 竹内隼介(たけうちしゅんすけ)
- 大石有(おおいしゆう)
- 橋本亮馬(はしもとりょうま):第1の被害者
- 九城健太郎(くじょうけんたろう):海上コテージの案内人
そしてこの8人は下の図のように部屋が割り振られました
7人は学生時代からの友人同士で、樋藤以外の6人は高校の同級生
樋藤は大学時代にアルバイトをしていた引越し会社に社員として働いていた大石と知り合い、そこでこのグループに加わることになったのです。
しかし、樋藤はこの6人を殺したいほど憎んでおり、この島で全員を殺害し、自分も自殺しようと考えていたのです
第1の殺人
しかし、樋藤の殺害計画は思わぬ形で崩されていきます。
島に到着したその日の晩
7人グループの中でも一番目立つ存在の橋本が何者かに殺されたのです
しかも、その殺され方は残虐で、面影がわからないほど顔が潰され舌が切り取られていたのです
さらに死んだ橋本の部屋は鍵がかけられ、鍵は部屋の中
つまり密室殺人だったのです。
橋本の死の翌日、事件はさらに動きます
次は橋本の死体を一番発見した大石が何者かに殺されたのです
しかもその死体も舌が切り取られていました
「第一発見者」が殺される
その後も次々と友人が殺されていき、その死体は全て舌が切り取られているのです
さらに被害者は全員『第一発見者』
同一犯の可能性が高いと思われていた中、ついに残りの生存者は樋藤と伊志田、九城だけになってしまうのです。
そしてこの3人になった時、事件は大きく動きます
なんと九城が樋藤の目の前で伊志田を殺害したのです。
これにより、九城が今ままでの殺人を犯していたのかと思った樋藤ですが、今までの殺人にいくつかの矛盾があることに気づきます
二人のうち最後の一人に生き残りせめぎ合いの中
結果的に九城は樋藤に指を食いちぎられ、樋藤は腹をナイフで刺され海に身を投げたのです
そして、第一部は幕を閉じます
第二部
その後の第二部はガラッと舞台が変わり、横島真莉愛という清掃センターで働く女性が、朝のゴミ回収の作業中にバラバラ死体を発見することことから事件が始まります。
この事件は近隣で発生している連続殺人事件との関連が疑われ、真莉愛は警察に24時間体制で警護されることになるのです。
そしてこの真莉愛という女性は第一部の事件の関係者と深い深い繋がりがあるんですーーー
二つの事件の繋がり
第二部の事件が起きた時点で第一部の事件から三年が経過しており、第一部のラストで海に身を投げた樋藤は海から助けられながらも意識が戻らないままだったのです。
一見すると全く関係ないかと思われる二つの事件
実は深い繋がりがあるのです
最初に読者に明かされる共通点は『第1発見者が殺されるということ』
そして物語が進むと、どんどん様々な共通点が明かされます。
- 九城は真莉愛の元カレ
- 真莉愛は第一部で樋藤が6人を憎むきっかけになった樋藤の先輩と同居している
さらに第二部の事件を追っていくと、さらなる共通点が明らかになっていきます!
この怒涛の伏線回収はとにかく大興奮で、読む手が止まらないほどのスピード感が醍醐味です!
興味がある方はぜひ実際に読んでみてください!
『ちぎれた鎖と光の切れ端』ネタバレ感想
それでは実際の今作を読んだ感想をネタバレを交えながら紹介していきます
第一部は物語の序章
第一部を読み始めると、「今作はクローズドサークル作品なのかな」と思うと思います
しかし、第一部はあくまでも第二部の序章で、第二部を読むことで大きな物語として完成されています。
さらに第二部では、作中の人物たちはコテージでの事件の真相を知りません。
コテージでは九城を含め7人が亡くなっており、唯一生き残った樋藤は意識不明のまま目を覚ましていません。
ここまでいうとあれ?と思う人もいるかもしれませんが、第一部のラストで樋藤と争った人物は実は九城ではなかったんです!
この謎が第二部で全て明らかになりますーーー
第二部での怒涛の伏線回収
第二部は第一部の伏線回収ような形で、一見無関係に思われていた真莉愛がコテージでの事件に大きく関係していることがわかっていきます。
この伏線回収が凄まじい!
九城と真莉愛の関係
真莉愛の同居人の正体
そして、なぜ真莉愛がバラバラしたいを発見することになったのか
この全ての謎が明らかになった時、二つの事件が一つに繋がり、物語は完成するんです!
前作以上にパワーアップした最高の作品でした!
スピード感のあるミステリー作品
今作はとにかくスピード感が気持ちいいです。
第一部ではコテージの人間が次々と殺されていき、一気にラストまで突き抜けていきます。
そして第二部では、第一部との繋がりがどんどんを明かされていき、こちらも一気にラストまで突き抜けていきます。
400ページ越えの大ボリュームでありながら、それを感じさせない展開の速さが大きな魅力の作品で、前作以上にパワーアップした最高作でした!
まとめ
今回は荒木あかねさんの『ちぎれた鎖と光の切れ端』のあらすじと感想を紹介しました
今作は1部と2部に分かれたミステリーで、それぞれの事件は物語が進んでいくに従って徐々に繋がっていき、怒涛の伏線回収が最高でした!
第1部はあくまでも物語全体の序章と言えるほどのスピード感で、一気読みてしてしまうほどの爽快感です
そして、その序章を踏まえた上で、第2部は一見別の事件に見えていた第1部の事件との繋がりが徐々に明らかにされていき、怒涛の伏線回収に興奮がやまない展開になっています!
前作よりも格段にパワーアップした作品でなので、興味がある人はぜひ読んでみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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