みなさんこんにちは!
年間100冊本を読む読書家のだいちです!
今回は呉勝浩さんの『爆弾』のあらすじと考察を紹介します!

読んでみたいけど、買う前に内容を知っておきたいな・・

気になるけど、本当に面白いの?
こんな悩みを持っている方に向けて記事になっています
この記事を読めば、あなたもきっと『爆弾』を読んでみたくなるはずです!
この作品は『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)国内編と、『ミステリが読みたい! 2023年版』(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)国内篇の、二つのランキングで堂々の1位に輝き、見事2冠を達成した作品です!
小さな傷害事件で捕まったスズキタゴサクという男が、東京都内で次々と爆破テロを起こしていきます。
取調室で行われるスズキと刑事の心理戦が見どころの作品です!
それではあらすじから紹介していきます。
今回紹介する作品
今回紹介する『爆弾』が2023年の本屋大賞の第4位に選ばれました!
この他の本屋大賞ノミネート作が気になる方はこちらからチェックしてみてください!

『爆弾』

あらすじ
東京野方警察署で、一人の男が傷害事件で取調べを受けていた。
その男の名前は『スズキタゴサク』財布もスマホも何も持っていなかった
そんな男が突然「10時に秋葉原で事件が起こります」
この発言を境に、東京都内で次々と爆破事件が起こる
この男は一体何者なのか。警察は次の爆破を食い止めることができるのか
刑事とスズキの心理戦が始まるーーー
物語の始まり
東京都内の野方警察署で、1人の男が取調べを受けていました。
その男は居酒屋で傷害事件を起こし、自らの名前を『スズキタゴサク』と名乗ります。
スズキタゴサクは、私物を一切持っておらず、スマホすら持っていなかったのです。
さらには財布には1円も入っていませんでした。
そんなスズキは、取調べ中に不可解な発言をします。
「うーん。ちょっと何か、閃きそうな気がします。なんだろう。事件が起こる気配です。ああ、これはどこかなあ、秋葉原の辺りかなあ。多分、そこまでひどいもんじゃないと思うんですけど。」
『爆弾』13ページ
10時に秋葉原で何か事件が起こると言い出したのです。
そして宣言された10時
本当に秋葉原で爆破事件が発生してしまうのです。
その後スズキは、「ここから三度、次は1時間後に爆破が起こる」と言い出したのです。
都内で起こる爆破事件
秋葉原の爆破事件は幸い、大きな怪我人はいなかったものの、一切の手がかりが見つからず、唯一の手がかりが、スズキタゴサクの予言だけでした。
この秋葉原の事件の後、スズキはここから3度、次は1時間後に爆発が起こるを予言しますが、どこで起きるのかなどの情報は一切話しません。
そして予言通り、秋葉原の爆破から1時間後、東京ドームの近くで爆破起きるのです
さらにこの爆破では、2人の重傷者がでてしまうのです。
物語ではこの後、都内でさらなる爆破事件が起きていきます。
スズキタゴサクの取調べ
2度の爆破事件が起こった後、取調べは警視庁の清宮という男が担当することになりました
警視庁から来たのは3人の刑事で、清宮は仕事ができそうな紳士、残りの2人のうち1人は類家と名乗り、清宮と対照的な見た目をしており、天然パーマで浮世離れした雰囲気をしていました。

この類家という刑事がクライマックスで大活躍します!
清宮に担当が交代になり、不満げなスズキ
清宮が場所を変えることを提案しても、野方署以外では話したくないと言い張るのです。
そんなスズキに対して、清宮はゆっくり歩み寄るような雰囲気で、スズキから情報引き出していこうとしていきます。
そんな時スズキから、<九つの尻尾>というゲームを提案されるのです
<九つの尻尾>
スズキから爆破に関する情報を聞き出そうとしていた清宮に対して、スズキは<九つの尻尾>というゲームを提案してきます
このゲームは、スズキが清宮に質問を九つします。
それに対して、清宮が答えるというもの。これにより、スズキは清宮の心の形を当てて見せるというのです。
スズキが爆破を予言できるのは、あくまでも霊感があるからと言い張っている状況で、その霊感の燃料になるだろうという建前でこのゲームを受けることにしました。
スズキは清宮に対して、心理学のテストのような質問をしてきます。
「では一問目です。刑事さんは明るくゆるやかな坂道を歩いています。いまよりもずっと若返っています。小学校低学年か、せいぜい高学年です。てくてくと坂道をのぼっていきます。学校を目指しているのか、反対に家へ帰る途中かもしれません。ところで刑事さんは子どものころ、犬に噛まれたことがありますか?」
『爆弾』51ページ
この九つの質問の中で、スズキは気になる人物の名前を口にするのです。
「四問目。刑事さんはもう大人で、警察官になっています。けれどゆるやかな坂はまだずっとつづきます。いい天気です。人生が上手くいっている証拠でしょう。刑事さんは誰かの手を握っています。その人と一緒に坂を歩いています。その人はーー」
「その人はハセベユウコウさんですか?」
『爆弾』56ページ
『ハセベユウコウ』
この人物は野方署にとって、消し去りたいほどの不祥事を起こした刑事でしたーーー
ハセベユウコウという刑事
ハセベユウコウは野方署にいた刑事でした
スズキに最初に取り調べをした刑事の元相棒で、多くの人から慕われる刑事でした。
しかし、数年前にある不祥事で刑事をやめることになったのです。
その不祥事というのが、長谷部が事件の起きた現場で自慰行為をしていたというものでした。
実際に自慰行為をしている現場を写真に撮られ、週刊誌に取り上げられたのです。
この記事が出てから、ハセベは自ら退職を申し出て、刑事を辞めることになりました。
そんな数年前に不祥事を起こした刑事の名前を出したスズキ
ハセベとスズキにはどんな関係があるのでしょうか。
ここから先の展開が気になる方は実際に読んでみてください!!
考察・ネタバレ

結局犯人は誰?
今作の見所は、スズキと刑事の心理戦ですが、実際に犯人が誰なのかも気になるポイントだと思います。
結論から言うと、スズキは犯人といえますが、主犯ではないのです
刑事との心理戦の中で、過去の不祥事から、様々な人物が登場します。
その中で、スズキの目的も徐々に明らかになっていきます。
そして、爆破事件はこの後も次々を引き起こされていきます。
とにかく手に汗握る展開で、一気読み必死です!
細野ゆかりは何者?
物語の最初で『細野ゆかり』という大学生の女の子が登場します。
最初だけ読んだ方は、この女の子が物語にどう関わってくるか気になる人も多いと思います。
しかし、この女の子は事件に直接は関係してきません。
では、この女の子の登場にはどのような意味があるのでしょうか。
個人的な考察ですが、この物語ではどんな人間の中にでもあるであろう”悪”というものが描かれます。
スズキの中にある悪、刑事である類家の中にもある悪、そして細野ゆかりの中にもある悪
そんなそれぞれの悪を持ちながら、行動に移し事件を起こしたのが、スズキという男なのです
スズキは、自分の中にある”悪”を抑え込むことができなかったのに対して、細野ゆかりは悪を持ちながらも、ラスト良い行動をするのです。
その結果、細野ゆかりは感謝をされ、本人もいい気持ちになるのです。
どんな人にもある悪を描きながら、スズキと細野ゆかりという、全く別の行動をして2人が対比として描かれているのではないかと考えました。
正直、対比にしてはインパクトが小さいかもしれませんが、細野ゆかりの役割はそういうものだったのではないかと考えています。
感想
とにかく手に汗握る展開で、めちゃくちゃ面白かったです!
ミステリーランキング2冠も納得の面白さです!
スズキの、見た目からは想像できないような心理戦がすごくて、清宮が打ち負かされるのは本当に驚きました。
最初の方にもチラッと書きましたが、清宮が打ち負かされた後は、類家が大活躍します
この類家とスズキの心理戦が、とにかく一番の見どころです!
実写映画化がされそうな内容で、個人的には映像を期待しています!
本当に後悔しない一冊です!
まとめ

今回は呉勝浩さんの『爆弾』を紹介しました!
『このミステリーがすごい! 2023年版』と、『ミステリが読みたい! 2023年版』の、二つのランキングで堂々の1位に輝き、見事2冠を達成した作品として期待は裏切りません!
これを読まずに令和のミステリーを語るな、とも言われている作品として、多くの人に読んでもらいたい作品です
興味がある方はぜひ実際に読んでみてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!

コメント