みなさんこんにちは!
今回は村田沙耶香さんの『生命式』を紹介します!
タイトルにもある通り最高に狂ってる作品で、帯には『文学史上、最も危険な短編集!』と書かれています。
それでは肝心の中身を紹介していきます!
あらすじ
あらすじ
死んだ人間を食べる新たな葬式・生命式
それは死んだ人間を弔いつつ、参加者が自由に受精をする狂った式典だった。
人間がどんどん動物になっていくような世界で、正常とは何なのかを考えるーーー『生命式』
他にも『素敵な素材』や『素晴らしい食卓』など著者自身がセレクトした脳そのものを揺さぶる12篇。自分の中の今の普通をかき乱してくるような作品たち。
ー『この世で唯一許される発狂が正常である』ー
文学史上、最も危険な短編集
作品の構成
この作品には2010年から2018年にかけて発表された、作者の短編が12編まとめられています。
全体的に変わった作品が多く、今の世の中の普通から考えると狂ってる世界観の作品ばかりです。
その中でも本作のタイトルにもなっている『生命式』と、個人的に気に入った『孵化』という作品を紹介します!
『生命式』
物語の世界では人肉を食べることが普通になっていました
まずこの時点でやばいですよね
さらにこの世界では今のお葬式の代わりとして『生命式』が行われていました
『生命式』というのは死んだ人間を食べる新たな葬式のことで、死んだ人間を食べながら、男女が受精相手を探し、相手を見つけたら二人で式を退場しどこかで受精を行うというもの
この世界ではセックスという言葉は使わず受精という言い方をします
こんな世界で主人公の池谷真保は違和感を感じていました。
こんな考え方になる30年前までは、今の日本と同じように人肉を食べる習慣なんてなかったし、生命式なんて存在しなかったのです。
こんな世界に違和感を抱えながら真保、飲み友達である山本にこの正解をおかしいとよく話していました。
そんな山本が突然交通事故で亡くなります。
そんな友達の生命式に参加することになった真保は、友達の生命式をみて考え方が変わっていきますーーー
『孵化』
主人公のハルカは結婚式を控えていました。
ハルカはのんびりとした性格で、夫によくいじられていました
しかし、ハルカには友達のアキ以外には話していない秘密があるのです
それはハルカには別に4つのキャラが存在するのです
地元では『委員長』と呼ばれるしっかりもの、高校時代は『アホカ』呼ばれる天然キャラ、大学のサークルでは『姫』、大学時代のバイト先では男っぽい『ハルオ』として呼ばれていました
しかしこれはハルカが多重人格だからなのではなく、そのコミュニティの中で「好かれる」ために行動し、この場に適して「呼応」しているだけなのです
みなさんも職場や家の中、学校などで違うキャラを使い分けていませんか?
そんなハルカがいざ結婚式を挙げるとなった時、招待した友人たちに合わせてどのハルカで振る舞うと思いますか?
結婚式内で友人によってキャラを使い分ける?
それとも素直に自分のキャラを白状して一つのキャラを選ぶ?
みなさんもきっと共感してもらえるだろうテーマの中に、村田沙耶香さんの世界観が合わさった作品です
ラストにはきっとゾワっとすると思います
感想
表紙の通り、とにかく最高に狂ってました!
短編集なんですが、全体的に常識からは考えられない狂った世界が描かれています
作品を通して、自然に帰るというテーマがあるような作品が多く、人間ではなく動物として考えると普通かなと思えるような世界観もありました
動物の中には死んだ仲間を食べる文化があるものもいるそうです
『生命式』の中で書かれていた”この世で唯一許される発狂を正常と呼ぶ”という言葉
この言葉を見ると今までおかしいと思っていた自分の考えも、側から見ればおかしいのかな?と思えてきてゾワっとしました
最後の『孵化』という作品は、全体の中でも人間の特徴にスポットが当てられていて、恐ろしさもありながら共感できるところもあって個人的にお気に入りでした!
サクッと読めて楽しめるのでオススメの作品です!
まとめ
いかがでしたでしょうか!
村田沙耶香さんの『生命式』
短編集という読みやすさも良いポイントで、村田沙耶香さんワールドが全体の作品です!
興味があればぜひ読んでみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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