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【城塚翡翠続編】『invert』あらすじと読んだ感想

城塚翡翠シリーズ第二弾の作品

前作の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」は第20回本格ミステリ大賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位などミステリーにおいて5冠を達成した作品で今回はそのシリーズ二作目になります。

今作は前作のネタバレ的要素が入っているので、この作品を読む前に前作を読むのがオススメです。

目次

内容

霊媒探偵 城塚翡翠が霊能力と称して、様々な物的証拠から犯人を暴いていく。
時には自身が変装して現場に潜入し、登場人物までの騙しながら犯人を追い詰めいていくミステリー

今作は全3章から成り、最初に犯人が分かっている状態からストーリーが展開していきます。
城塚翡翠自身も最初の操作の段階で犯人に目星がついており、その犯人を確証させるまでの論理が楽しみな作品です

感想

今作は犯人が最初に分かっている状態なので、その犯人をどのように追いつめていくのかが見どころでした。

前作に続き、第3章の最後の種明かしは見事でした。
作中でも登場人物全てを騙しながら、まさに城塚翡翠劇場というようなラストでした。

今回は翡翠の探偵としての熱い思いのようなものが描かれていて、翡翠の本当の顔らしきところが見えてきました。
もしかしたら、それすらも翡翠の計算かもしれませんが・・・

なんとしてでも犯人を捕まえる。殺人した人間は必ず報いを受けなければならない。そうすることでしか社会から殺人は無くならないという翡翠の強い気持ちがでたシーンは印象に残りました。

また翡翠の犯人をただ明らかにするだけではなく、そこに至った論理へのこだわりが描かれていて、今作のストーリー展開からも今作の軸になっている作者の思いのようなものが見えました。

犯人がわかればそれで満足するんじゃなくて、そこまでの論理をしっかり読み込んでこそ推理小説の本当の面白さを味わえるということを実感させられました。

今作では翡翠が探偵の道に進むようになった気持ちの部分が少し明らかになったので、個人的には第3作もあるんじゃないかなと思っています。

もっと城塚翡翠劇場を味わってみたいと思いました!

印象に残ったセリフ

「人生も、思ったとおりには動きません。行動したとおりに動く」

「invert」112ページ

「善意でしていることを、悪意で返されるのはつらいですからね」

「invert」117ページ

「たった一度!たった一度だけ!わたしたちの命は、とても儚く脆いのです!だからこそ、わたしはひとりよがりの殺人を赦しません!人を殺してはいけないという社会を守り続けることでしか、人の命を奪う暴力を除外する術はないのです!大切な誰かを護るためには、人を殺したら必ず報いを受けるのだと!罪を償うべきなのだと!そのルールを徹底して知らしめることでしか、わたしたちは殺人という暴力から命は護れないのです!」

「invert」224ページ

「推理小説においても、読者にとって論理は蔑ろにされるもののような気がします。たいていの人たちは、ぼんやりと犯人がわかればいいと思っているんです。なんとなく犯人の予測がつけられれば、先が読めただの言って満足してしまう。誰もが納得できる論理なんてまるきり無視です。そんなんだから、作者がわざと犯人がわかるように書いてある小説ですら、自分の力で犯人を見破ってやったんだと思い込んで悦に入ってしまうんです。だから、犯人が最初からわかっていたりすると、とたんに興味を失って、考えることをやめてしまう」

「invert」296ページ
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