みなさんこんにちは!
今回は楪一志さんのデビュー作『レゾンデートルの祈り』のあらすじと感想を紹介します!
本作は『安楽死』が題材になった作品で、何のために生きるのか、『生きる』こと『死ぬ』ことについて考えさせられる素晴らしい作品でした!
ちなみに「レゾンデートル」とはフランス語の哲学用語で自分が生きる意味、自分の存在価値を意味する言葉のようです。
人から認められるのではなく、自己完結した価値のこというみたいです
このことを知ってから読むとより作品の理解が深まります!
まずはあらすじから紹介していきます!
『レゾンデートルの祈り』
あらすじ
2035年、安楽死が合法化された日本で人命幇助者:アシスターとして死に救いを求める人たちの生きたいという微かな希望を照らそうとする眞白
しかし、そもそも何のために生きているのか
「生きる」意味、「死ぬ」意味について考えさせられる作品
安楽死の合法化
今作は2035年の日本が舞台で、この時代では安楽死が合法化されていました
作中では安楽死が合法化された背景として、ある感染症の世界的な流行が描かれています。
この感染症は現実の世界でも大流行した新型コロナウイルスのような呼吸器系の感染症で、第一発症者が日本人であったという点からJARSウイルスと名付けられました
このような背景があり、世界の情勢に不安を募らせる人々を救済する措置として『安楽死制度』が作られたのです。
人命幇助者:アシスターの存在
安楽死が合法化された世の中でも、安楽死するためには一定の基準を満たさないといけません。
それが終焉要件と言われる条件です
年齢規制であったり、病気の有無、また本当に安楽死したいのか、一時的な気の迷いではないのか。
そういった一定の要件を満たしたものが安楽死できるのです。
この要件を満たすために必要な存在が『人命幇助者:アシスター』(以下アシスター)なのです。
それでも安楽死を選ぶ人もいるのです
今作は新米アシスターの遠野眞白(とおのましろ)が主人公で、様々な安楽死希望者とアシスターとして接し、『生きる』とは何なのかを考えながら成長していく物語です
今作の構成
今作は大きく全5章に分かれていて、眞白の初めての面談から、5人の安楽死希望者との出会いが描かれています。
特に印象に残った物語
個人的に印象に残っているのは第3章の『天秤』
眞白が実際に面談した安楽死希望者の死を初めて経験した時のことを、専門学校の先生である高坂と話しながら描かれていきます。
この章では面談の中で自分のことを一切話さずにそのまま安楽死を選んだ希望者が登場します
なぜこの希望者は安楽死を選んだのかーー
明確な答えは明らかになりませんが、この章で希死念慮という言葉が出てきます
毎日同じことの繰り返しで、何のために生きているのかーー
生きるためにただ生きているような状態になってしまっている人が世の中にいると思います。
そういった考え方に正面から向き合った物語になっています。
感想
色んな理由で死にたいと思ってしまった人たちの生きたいという微かなを希望に光を当てようとするアシスターの眞白
実際眞白のお陰で救われた人たちをいるけど、それでも変わらず死を選ぶ登場人物はすごい考えさせられました
そもそも安楽死をやめたことが救いになるのか
死にたいと思うくらい辛いのに生きることを選んで幸せになれるのか
難しいところですよね
しかも死にたいじゃなくて、生きたくないから死ぬっていうのも結局どうしたらいいんやろってなりますね
眞白の安楽死希望者に寄り添おうと成長していく姿と、高坂教官のいい先生感が見どころです
安楽死って人によっては救いになるんじゃないかと思ってしまう作品でした
印象に残ったセリフ
自分の頑張りを認めてくれる人が良いという人もいれば、自分として努力が足りていないことを褒められても逆に辛くなるだけの人がいる
『レゾンデートルの祈り』108ページ
募金みたいに命の寄付も自由にできたらいいのに、生きたい人に譲れたらいいのに
『レゾンデートルの祈り』153ページ
生きることは勇気がいること
『レゾンデートルの祈り』229ページ
全ては『生きているからこそ』なのです
『レゾンデートルの祈り』306ページ
まとめ
いかがでしたでしょうか!
楪一志さんのデビュー作『レゾンデートルの祈り』
かなり読み応えがあって、すごく考えさせられる作品です
『安楽死』が題材になっていて、人生に迷って何をしていいかわからなくなっている人の救いになる作品だと思います
そして、その安楽死希望者に寄り添うアシスターという存在が本作の見どころです。
毎日同じことの繰り返しで、何のために生きているのかーー
生きるためにただ生きているような状態になってしまっている人が世の中にはいると思います。
そういった考え方に正面から向き合った物語になっています。
興味があればぜひ読んでみてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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