みなさんこんにちは!
年間100冊本を読む、読書家のマイスナフキンライフの管理人・だいちです!
今回は辻村深月さんの『傲慢と善良』のあらすじと感想を紹介します!
読んでみたいけど、買う前に内容を知りたいな・・・
読んでみたいけど、実際面白いのかな・・
こんなことを考えている方に向けた記事になっています。
本記事を読めば、きっと『傲慢と善良』を読みたくなるはずです!
まず、『傲慢と善良』は単行本としては2019年3月に出版されましたが、2022年9月に文庫版が出版され、再び話題になっている作品です。
婚約者の突然の失踪から始まる物語で、人それぞれの結婚に対する考え方や、婚活の大変さなど、人の中にある『傲慢さと善良さ』が描かれる作品です。
それではあらすじから紹介していきます。
今回紹介する作品
『傲慢と善良』
あらすじ
婚約者の坂庭真実が突然姿を消した。
真実はストーカーに被害に遭っていて、2ヶ月前から一緒に住んでいた
家族の元にも帰っていない真美に帰る場所などあるのだろうかーーー
西澤架は真美を探すために、真美の過去と向き合うことになる
そこには架の知らなかった真美の本当の苦しみがあったのである
恋愛だけでなく、生きていく中での悩みに応えてくれる恋愛ミステリー
物語の始まり
物語の始まりは西澤架の婚約者である、坂庭真実の失踪です
坂庭真実は西澤架と婚約し、2ヶ月前からほとんど一緒に住むようになっていました。
同棲するようになったきっかけは、真美のストーカー事件です
真実は以前からストーカー被害に遭っていたのです。
道を歩いているときに後ろから視線を感じたり、届くはずの郵便物が届かなかったりと、些細な違和感が続いていました。
そんな違和感が続いていたある日、友達を飲んでいた架に対して、すごく怯えた真実が電話をかけてきたのです。
その電話で真実は『ストーカーが家にいる』と言い出したのです。
真実が仕事から家に帰る途中、自分の部屋の電気がついていたのです。
それを見た真実は、ストーカーが家にいると思い、恐怖で架に電話をかけたのです。
これをきっかけに架は真実を守らなければいけないと思い、結婚を決意し、一緒に住むことになったのです。
実際真実の家からはアクセサリーなどがなくなっていたのです
真実の過去
真実がいなくなってから、架は真実の実家に連絡し、実家にも帰っていないことを知ります。
ストーカー被害で恐怖を感じていた、真実に帰る場所などないはず。
そのため、架は真実が失踪したことを警察に連絡します。
しかし、警察は事件性がないと詳しい捜査をしてくれませんでした。
警察には真実が自ら姿を消したと思われたのです。
警察に頼ることができなくなった架は自ら真美を探そうと決意するのです。
その中で、真実の母親や、真実の姉、真実の同僚などから、真実の過去のことを聞いていきます。
その結果、架は真実が昔婚活をしていた頃に出会った二人の男が怪しいのではないかと考えるのです。
真実のストーカーの正体
架は真実を見つけるために、数ヶ月探し続けたのです。
真実が失踪してから3ヶ月が経った頃、架は友人の女性二人に呼び出されます。
そこで、衝撃の事実を耳にするのです。
真実が失踪する前日に、二人の友人は真実に偶然会っていました。
そこで、二人は真実に対して、『うまくやったよね』と声をかけるのです。
この『うまくやったよね』というのは、なかなか結婚に踏み出せなかった架をちゃんと捕まえて、結婚するなんてうまくやったよねという意味。
つまり、架の女友達からすると、架と真実が結婚するきっかけになったストーカー事件は、真実の自作自演だったと思われていたのです。
このことを言われた真実は否定をせず、次の日から架の元から失踪したのです。
第二部の展開
真実の嘘がばれた場面から第二部はスタートします。
第二部は真実の目線で物語が進んでいきます。
そこで語られるのは、真実が本当に失踪した理由
そして、真実が嘘をついてまで架と結婚したいと思った理由です。
真実の過去が真実視点で語られ、真実の本当の辛さがひしひしと伝わってきます。
真実の母親がマジでやばいんです・・・
詳しい内容が気になる方は、ぜひ実際に読んでみてください!
感想
真実の苦悩
第二部で全てが明らかになりますが、真実は架と付き合うまで、婚活をしていました。
そして、その婚活の相手は、真実の母親が決めていたのです。
そのため、架に出会う前に会った二人の男性を振った時は、母からいろいろ言われたのです。
さらには真実自身が自分で相手を見つけようとすると、いろんな難癖をつけて、その相手は本当に大丈夫なのか問いただしてくるのです。
とにかく真実に自由はなかったのです
そのため真実にとって、架と結婚することは自分一人でしっかりできることを、母親に見せる意味合いもあったのです。
婚活の辛さ
今作では婚活の辛さが描かれます。
婚活は就活と似たようなものなんです。
出会う前からどういう仕事をして、どういう見た目なのかがわかった状態で会う
そして、その人が自分に合う人なのかを吟味する。
違ったら振られることになるし、良ければ付き合える。
こういう風に見てみると、婚活は就活と似ている部分がありますよね。
そう考えると、婚活でうまくいかないことが続くと、『自分なんて・・』と卑下する気持ちになりますよね。
真実はそんな気持ちになってからこそ、やっと付き合えた架のことを話したくないと思い、嘘をついてまで結婚にこぎつけたのです。
タイトルの意味
この作品のタイトルになっている『傲慢と善良』
作中にこんなセリフがあります。
「現代の日本は、目に見える身分差別はないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、みなさん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、”自分がない”ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人に存在してしまう。不思議な時代なのだと思います。」
『傲慢と善良』119ページ
真実は母親の言いつけ通り、婚活をし、出会う相手も決めてもらっていました。
しかし、真実は真実の価値観の中で、相手を品定めし、振っていたのです。
相手を気遣ってか、誰でいいとか、何でもいいというわりに、結局決められたことに文句を言う人っていますよね。
こういうのを『傲慢と善良』が共存している状態だと思います。
僕はこの言葉を聞いて、何も言い返せなかったですね
この感情はどんな人にも当てはまるんじゃないでしょうか。
まとめ
辻村深月さんの『傲慢と善良』
婚約者の失踪からがっつりミステリーに展開して行くと思いきや、人の弱さや本性が描かれていく、心に響く作品でした。
やっぱり辻村深月さんの作品は、響きますね。
興味がある方はぜひ読んでみてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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