みなさんこんにちは!
今回はカンザキイオリさんの小説第二作。
『親愛なるあなたへ』のあらすじと感想を紹介します!
読む上でも注目ポイントや、伏線となる部分をピックアップしているので、最後までご覧ください!
前作の『あの夏が飽和する』もかなり衝撃的な作品でしたが、今作もすごい作品でした!
『親愛なるあなたへ』
あらすじ
小説家を目指す春樹。ミュージシャンを夢見る雪。そして、二人を見守る人たち。
それぞれの哀しみを背負いながら、高校三年間、寄り添うように生きていく。
ところが突如、平穏な日々に悲劇が訪れた。隠蔽、苦悩、決断の果てに待つ衝撃の結末とは?
すべての答えは卒業式当日。
私は、あなたの「爆弾」になる―カリスマアーティストが贈る小説×音楽の物語世界。
二人の主人公
今作では二人の主人公が存在します。
小説家を目指す春樹とミュージシャンを夢見る雪
今作のポイントはこの二人がどのタイミングでどのように繋がっていくかになります。
物語は二人が中学を卒業するタイミングから始まり、高校の卒業式までの青春時代が描かれています。
二人は別の中学卒業後同じ高校に進学することになるのですが、この二人高校2年の文化祭まで全然出会うことがないんです。
この二人の不思議な接点に、今作のからくりが隠されています。
小説家を目指す春樹
春樹は小説家を目指すとなっていますが、中学卒業の時点でデビュー作をもうすでに出版しています。
しかし、春樹は嬉しい反面もう小説を書きたくないと思っています。
なぜなら、春樹の父も小説家で、その父は小説に命をかけて亡くなったからです。
家族を残して亡くなったことによって、春樹の母は小説家というものに対して良い印象を持っていませんでした。
物語の中盤で小説家になることを素直に喜べないとはっきり春樹に告げますが、言われる前から察していた春樹は、二作目以降は描かないと決めていました。
そんな春樹ですが高校入学後、穂花という明るい性格の女の子に出会い、段々と気持ちが変わっていくのです。
ミュージシャンを目指す雪
ミュージシャンを目指す雪は実の両親がいません。
小さい頃に両親が離婚し父に引き取られましたが、その父も再婚後失踪してしまいました。
この失踪という意味深な言葉、最後に衝撃的な事実が明らかになります
そんな雪は義理の母と義理の姉の三人で仲良く過ごしていましたが、高校入学を前に義理の母がショッピングモールのエスカレーターから転落し亡くなってしまうのです。
雪は悲しみのどん底に暮れますが、大好きな義理の姉と二人で生きていくことを決意するのです。
そんな雪は高校入学前に春樹が書いた小説を見つけ、”自分もこんな風に誰かを感動させられるものを作りたい”と思い、高校でミュージシャンを目指すのです。
二人の出会い
この二人の主人公同じ高校に入学するのですが、高校2年の文化祭まで一切で出会うことがないんです。
春樹は小説を出版していますが、高校では一部の限られた人にしかその事実を教えていません。
さらに小説の作者名は”ハル”という別の名前で出版してました。
でも、雪は高校入学前に春樹の小説を知っていて、さらにはめちゃくちゃファンなんです。
こんな状態だったら二人はすぐに出会って物語が進んでいくのかと思いますよね?
しかし、この二人は出会わない。この物語にはカラクリが隠されているのです。
この二人が出会ってから、物語は怒涛のスピードで進んでいきます。
雪の父の失踪、雪の義理の母の死の真相、春樹の小説家としての道、穂花との関係、
全ての真相が明らかになった時、衝撃的なラストが待っています。
物語のからくり(ネタバレ)
この作品にはカラクリが隠されていると何度も言いましたが、実は春樹と雪の物語は時系列が違うのです。
だから二人はなかなか出会わなかったのです
春樹は雪よりも上の世代で、雪の義理のお姉さんは実は穂花なのです。
ここまで明らかになった時物語は一気に進んでいきます
衝撃のラストは実際に読んでみてください!
感想
前作の『あの夏が飽和する』もかなり衝撃的な作品でしたが、今作もすごい作品でした!
内容も衝撃的ですが、文章の表現の仕方や感情の表現の仕方がクセがあって、正直好みが別れそうな作品だと思います。
命とか死とか後悔とか普段表に表現されないようなことがストレートに表現されています。
ですが、それを嫌な気持ちなく読むことができるので、ここはカンザキイオリさんの表現力の凄さだと思います。
ボカロが好きな人や、カンザキイオリさんの楽曲を知っている人とかはかなり楽しんで読めるんじゃないかなという作品です。
また、カンザキイオリさんは楽曲や映像作品も作っているので、この作品のことが歌われたMVがあります。物語を読んだ後に見るのがオススメです
春樹や雪の心情が映像でもすごい伝わってきます。
この作品に少しでも興味があれば映像も含めて、ぜひ読んでみてください!
コメント